例えば風強き日
即ち台風で
屋根が飛ぶ事がたまに在りし
まるでかすがいなきかの如く
飛ぶ
しかし其の確率は多摩川の氾濫する其れの如し
たまたまに
風が左から強き折切妻に風当たりしは
右下がりの勾配の屋根に
揚力働きし
風速強まれば屋根が飛ぶなり
たまには
踏切で
警報鳴り出す時
車は電車の通過待ち
その時電車の走行音うるさし
東西に伸びし線路の脇
上り電車の走行音
踏切にやって来る時
キー上がり
遠ざかりし時
キー下がり
ある時友人3人と大島へ行った
夜を船で過ごし明け方着いた
そして当時出来立ての
遊歩道を歩く
夏盛の太陽が照りつける
そこで目を引いたの物が
ミミズの死骸の山であった
遊歩道には草地との段差があり
ミミズは遊歩道に落ちたら
草地に這い上がる事ができなかった
ミミズは日干しであった
ミミズは2次元の世界を生きていたのであった
かつて
世界の時計は
みな狂っていた
そう考えた瞬間
電波時計が出現した
その時世界の時計は
皆合った
何年かして地震がおきた
その際に電波時計が
通用しなかった
それで自動巻ぜんまい時計をかった
かつて小川には
金が出た
さらさら流れる
小川に出るのは
砂金であった
比重の最大なる物をこすには
小川の底の砂地を水でこせば良かった
水で砂を流してしまえば
砂金がざるの底に残る
お金には成らない子供の遊びというわけだ
せせらぎ無き時代欲しく成る小川のせせらぎ
昔昔我が家の畑の脇に
森があった
こんもりとして遠くからも目立った
其の中には
日中でもヒンヤリとし
苔むしたような空間に
水車小屋があった
ところが今はマンションが立ち
森が消えた
晩夏には
収穫を終えたトマトの木が
横になる
其の頂部に一個のトマトが
なっている
完熟トマト
水浴おえた子供たちが畑で遊ぶ
其の一個のトマトの甘みが
終生忘れられない
味と成る
そしてトマトの木は
一つの素描画となっていた
曇天の空から落ちる水滴
雲一つ無いかの様
影も無き人が傘をさす
梅雨だから
色こい影を持つ人も傘をさす
夏だから
一方で御来光有りとすれば
一方で家々の谷間に射す光有り
散歩がてら
谷間の光で暖まる
新鮮な外気に浸され
体が洗われる
ぬくぬくとしたダウンコートがそれを助ける
先だっての件 キンモクセイの香りがしたのに
今は真冬の感
そうだろう
部屋に戻り
暖房をきかす
最近買ったばかりの椅子が迎えてくれた
凍てつく冬の空気は
遠くに見える山のエッジを
鋭くし
列車での旅にて
外を見やれば
行き先を
阻むが如く
立ちはだかる山
呼吸程よく楽になりて
山に向かって列車は走り
目的地は山の懐か
山の懐には
炭火在りし
囲炉裏在りて
暖をとる配剤なり
炭火の赤い輝きが
赤々と具合良し
山々の色炭火の色
鮮烈な配置
コントラスト強く
鮮やかに
夢中になること
それは毎日が宴だ
桜咲きそして散り
その間変わりなき時間が過ぎ
今年は今年の風が吹くか
その時ふと思う
今年のパースペクティブ
既に3ヶ月過ぎ
やっと今年に慣れたか
ふと先行きの消点は人生の終着駅か
たまには道中羽目を外し
宴も良いだろう
そして今夏盛り
蝉のはかなさ
つくずく思う
冬枯れの欅
枯れ葉落ち
蚕食されたような木々の梢
冬枯れの欅
2泊3日で帰った実家で
空を見上げる
枝枝にムクドリがたまに止まり
私は実家に泊まるという訳だ
昔はこの季節地面は霜柱で固まり
足音はザクザクと響く
そして
松の内は少し御目出度かった
正月も二日を廻り
私は自分の部屋に帰る
帰路の車の中ではベートーベンが鳴った
秋の日
今日は秋の日
一日一日秋が深まりつつ
今日は秋の日
空気はひんやりして冬まじか
太陽光線が肌を刺す
未だに紫外線が肌を刺す
未だに紫外線が強い一日
今日看護学生が来てくれた
マンネリ化した一日が消えた
秋の蝉
晩夏あるいは初秋
蝉が鳴く
目の前のプラタナスの幹に
へばりつくかヒグラシが
夏からたすきを渡された
アンカーだ
ふとプラタナスの遥か向うを思う
日本の象徴フジヤマが
腰を据えてるはずだ
その右手に夕焼けの里がある
そのあたりに今住んでいるらしい
今に時を移せば
蝉の鳴かない世界に生きる
夕焼けはあっても
夏の日<その1>
目の前の草むらの脇に
笹が束になり広がっている
それを見ると実家の庭に出る
トカゲを思い出す
戸袋の下にきつい日差しの中
サボテン間をトカゲが這う
ちょろちょろと
その動きは目の動きに似て素早い
はるか上空には
入道雲が光る
思いは遠く異国の地を思い
目の前のトカゲ一匹を思う
ふと目を上げると
鯉のぼりの泳いでいた場所が
空だ
その向うに青桐が高くそびえる
青桐は成長が早く
他の二本と丁度よく並んで
三本が天を突くようにそびえる
左から青桐、欅、樫の木と
葉は一定のリズムで風に舞うかのよう
表裏を見せつける
ぴかぴかと
<その2>
小さな入り江にテントを張った
半島の夏
キャンプをしようというわけだ
そして目の前の海水は役に立たず
真水を求め
入り江から少しあがった所、道路迄でる
其処には水道が来ていて真水がでた
海の脇とはいえ真水が不可欠という訳だ
南海の赤道直下漂流する一隻のボート
そこにも真水が不可欠だ
凪の中
漂流を続けるボート
帆は役に立たず
どこへ行くのか
偶然発見されるのを待つばかりの運命か
様々な夏の日