2018年12月27日木曜日

野分の後

   
           野分の後

        列島を巻き込んだ雨の嵐去る
        台風一過の空
        今年は騒々しい
        澄んだ青空を目撃したが
        すぐに低気圧で崩れた

        テレビで見る
        直撃された島々
        壊された庭の数々
        それが今年の野分後

        ふと古典文学との違いを思う  

秋の空気

          秋の空気

       澄んだ空気が体に滲み込む
       シャツをもう一枚着込めば
       丁度良いという感じだ
       
       太陽が窓を照らす
       絹地のカーテンが光る
       窓の向こうの崖をグリーンが覆う
    
       透明感溢縷々それらは
       この部屋を明るく照らしている
       そして
       部屋の中にいる僕も
       明るく照らされている
    

風光る

            
            風光る

        春の陽光の中そよそよ
        風吹き渡る
        木の葉の裏表
        点滅するよ
        光を反射し
        点滅するよきらきらと
        遠目に見える海面のように
  
       

青桐

            

            青桐

        南側の山際に一本の青桐あり
        表皮が苔蒸して緑色だ
        葉が生い茂り花が咲く
        その下が喫煙空間になっている
        ちびた椅子とでかい灰皿が置かれ
        そこだけ虐められているという訳だ
        たばこを飲み終われば
        でかい灰皿で受け止めてくれる
        青桐にも無関心で
        寂しく喫煙が終わる 

愛と悲しみ、嘆きの聖母子像(ピエタ)

       
          

        友あり遠方より便りあり
        ピエタ像がいたずらされたと
        後日他の友と連れ立って
        バチカンを訪れる
        友は『あの忌まわしい事件』と
        便りを呉れたが
        今は直っている
        ガラスケースの中の像は
        何とも云えぬ出来映え
        愛と悲しみを漂わせて
        マリアがいる
        そしてキリストの像は
        5cm位の刺で覆われている
        『直接の死因ではない感じで』
        マリアの膝に横たわるキリストは
        安住の地を得たかの様だった
       

トレックキング

       

                             トレッキング

        八ヶ岳山麓を歩く
        ザワワ ザワワ ザワワ
        トウモロコシ畑を歩く
        ザワワ ザワワ ザワワ
        夏の陽光の下
        静けさが横たわる
        仲間はパースペクティブの焦点にいる
        つかず離れず歩く
        ザワワ ザワワ ザワワ
        風の音のみ響く
        ザワワ ザワワ ザワワ
        風と陽光と汗と私
        どこへ向かうのか    

2018年12月26日水曜日

私は太陽を待つ

           

          私は太陽を待つ

        梅雨を過ごし、私は太陽を待つ
        アオキの枝葉にカタツムリが
        のんびりへばりつく
        シトシト  シトシト
        雨が降る
        カタツムリは時に空を飛ぶがごとく
        意外な所に現れる
        シトシト  シトシト
        雨が降る
        私は太陽を待つ
        6月のある日裏庭を眺めては
        太陽を待つ
        建具が開け放たれ
        屋根の下は涼しげである
        裏庭の地面は苔むしている
        万年雪で隠れてしまう以外
        グリーンが美しい
        一年中
        そこに紅葉が一本はえる
        くの字曲がった幹を抱えて
         

2018年12月14日金曜日




                         これが詩作の現場です。とりあえず現場を紹介します。

あの夏

                   

                                  あの夏

       夏と秋がだぶった初秋
       人々はゾロ東京へ帰った
       未だに山麓にある大学の山小屋にいる
       山小屋の近くにススキがはえそろう
       それらが初秋を告げ
       その時
       群れより離れた自分を見つけた
       今思えば何を待ち望んでかを
       はっきり理解した
       ススキを揺らす風が頬をなぜる
       その冷気が夏の終わりを告げている
         

2018年12月13日木曜日

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暮れなずむ都市

                                

                                          暮れなずむ都市


        林立するビルに明かりが灯る
        一台のヘリコプターそこを縫うように飛び   
        どこかへ立ち去る
        暮れなずむ都市とは
        そんな感じの映画の一シーンか
        ビルの明かりはランダムに配置され
        クリスマスには規則正しい
        夜光りある都市は美しい
        100万ドルの夜景が仕上がるまでの時間を
        暮れなずむという訳だ
        そしてその季節は夏だろう


                      前述の詩が当詩文庫のintroductionです。良い方向の予兆となれば良い
     のですが。

2018年12月11日火曜日

山紫水明


        
        
小高き山々連なり 
谷の中央に道路あり 
紫の霞たなびく 
御寺が腰を据える 
2街道を結ぶ道路をひたすら走る 
御寺より遠望すれば 
霞たなびき 
水清くして淡水魚を食す 
杯を交わす程酔いが廻り 
竹細工の器数有りて 
囲炉裏愉快なり 
竹薮深くして 
そのざわめきフルートの響きに似て 
帰路の車のなかに持ち込まれた